ミシェル・ラリの歌声をフランキー・ガヴィンの音が包む
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Michelle Lally, If This Be Love (Tara, 2006)
おそらく、このアルバムの隠れファンは多いのではないかと想像する。
ミシェル・ラリの天性の美声をこの上なく豊かな音で包みこんである。その豊かな美しさはアイルランド語ならガラーンタ galánta(英語の gorgeous に当たる)としか言えないような種類の贅沢なものだ。
ところが、驚くことにこのサウンドを作り出しているのはたった三人である。いかにフランキー・ガヴィンの音楽的ヴィジョンが優れていたとしても、これは驚きだ。
通して聞くと、しかし、主人公は、歌い手でもミュージシャンでもなく、これらの歌たちであるという気がする。これはすぐれてアイルランド的な考えで、作り手、歌い手、弾き手よりも、何よりも、歌そのもの、詩歌をこそ、尊ぶという姿勢がアイルランドには綿々とある。
収められているのは名曲ぞろい。中でもトラック2 'The Lark in the Clear Air' (Sir Samuel Ferguson の詩、曲は伝統曲)は出色のでき。Tim Edey のギターが光る。
それから、もう1曲挙げるなら、トラック10の名曲中の名曲、Jimmy MacCarthy の不朽の名歌 'Ride On' も、クリスティ・モアとはまた違った味わいで、歌詞がよく味わえる。
参加アーティスト
- Michelle Lally (vo)
- Frankie Gavin (fiddle, fl)
- Tim Edey (g)
- Eugene Kelly (all other instrumentation)