'e'はくせもの(あるいはSkyeのe)
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スカイ島の話。
スコットランドの西の沖にスカイ島という島がある。インナーヘブリディーズ諸島の最大の島だ。
英文学が好きな人ならモダニスト文学を代表するヴァジニア・ウルフ(Virginia Woolf)の小説『灯台へ』(To the Lighthouse, 1927)の舞台がスカイ島であることを知っているだろう(実際には別の島を元にしたという説もあるけれど)。
ところで、このスカイ島は「空」の島ではない。よく綴りを見ると Skye となっている。空の sky のあとに e がくっついている。
あわてんぼうの人は、別にどっちでも同じじゃないの、と思うかもしれない。が、この場合は違うのだ。
スカイ島(Isle of Skye)の Skye は英語の sky に由来しない。スコットランド・ゲール語の An t-Eilean Sgitheanach や An t-Eilean Sgiathanach に当たると考えることができれば、「翼のある島」とも解釈できる。古いアイルランド語でいう Ellan Skiannach に当たる。
現代のスコットランド・ゲール語で sgiath が「翼」の意だ。sgitheanach はその形容詞で「翼のある」。
確かに地図を見ると、山なす中央部から半島が両方に伸びているようにも見える。
[source: Wikipedia]
だけど、スコットランド・ゲール語以前の別の言語に由来するのではないかとの説もあり、語源ははっきりしていない。ともあれ、英語の sky ではないことだけは確かだ。