滞日35年の英国人が英語圏に通じる発音を伝授
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ピーター・バラカン『猿はマンキお金はマニ―日本人のための英語発音ルール』(NHK出版、2009)
音楽好きの間ではイギリス人ピーター・バラカンはおなじみのDJである。日本語も英語も大変わかりやすい。
彼は番組でときどき英語の発音のことを話す。主として日本のCD盤などでのアーティスト名の表記などに関してである。もちろん、そこでのカタカナ表記が英語圏には通じないことを憂えての発言である。英語も日本語もひとしく分かる著者ならではの観点である。
たとえば、アイルランドの音楽大使ともいわれる Chieftains のことは日本では一貫して「チーフタンズ」である。だれが最初につけたのかは知らない(知っている気はするが)。彼はアイルランド音楽が大好きでしばしば言及せざるを得ないために、たんびに「チーフテンズ」と訂正する。
本当は正確を期すためには彼はカタカナは使いたくないのだが、本書では仕方なく使っている。そのうえで、日本人にマスターしやすいイギリスの標準的な発音をなんとか伝えようとする。
外国語とカタカナ表記との間には複雑な問題があり、音韻論を専門にする言語学者でも意見が分かれるくらい難しい。その方面には素人である著者ががんばってもそれはなかなか克服できない。それでも、伝えざるを得ない彼の胸のうちはよく判る。