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20世紀のアイルランド伝統音楽で最重要人物の一人シェーマス・エニス


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Séamus Ennis, The Wandering Minstrel (Topic, 1974; Green Linnet GLCD 3078, 1993)

 

 ダブリン県出身の シェーマス・エニス (1919-82)。

 20世紀のアイルランド伝統音楽で最重要人物の一人。イラン・パイパー、ティン・ホィッスル奏者、歌い手、ストーリー・テラー、採譜者、録音者、公演家、放送人として。彼のアイルランド語は コナマラ の Ros Muc (Rossmuck) 仕込みである。

 全篇シェーマスのパイプス・ソロ。音の出だしからシェーマス独特の雰囲気がただよう。今から40年前のアルバムだが、そんなことは関係ない。

 ライナーをシェーマス自身が書いているが、シェーマスの書いてるものは何でも読む価値がある。米 Green Linnet 盤(写真)が入手困難になったのは残念だが、愛 Ossian 盤は入手可能。

 トラック7 'The New Demesne' は一聴して強い印象を残すリールだが、パイプスの技巧面でも難曲という。シェーマスは父の演奏から覚えたらしい。リールの中でも「大曲」 (big reels) の一つとシェーマスは書くが、リールにもそういう名称があるとは知らなかった。歌ではよく「大曲」 (big songs) という言いかたをする。

 トラック10 'Molly O'Malone' は北西コナマラのアイルランド語によるフォーク・バラッドだという。この曲のスロー・エアとしての演奏はシェーマスらしい分厚さがある。

 トラック11 'Kiss the Maid behind the Barrel' も big reels の一つで、この難曲におけるシェーマスの卓越した技術はすばらしい。このアルバムのハイライトだろう。

 このアルバムが1974年に録音された Livingstone Studios (Barnet, London) はジョン・レンボーンの The Lady and the Unicorn が録音された場所でもある。

 参加アーティスト―― Séamus Ennis (uilleann pipes)

 評価―― ★★
*1

 

 

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*1:評価は五つ星を最高とする尺度によっており、星の数による意味は、「★ 良い点をさがすのが困難」 「★★ かなり良い」 「★★★ 第一級(年間ベスト・アルバム・クラス)」 「★★★★ 群を抜いてすばらしい、すごい、数年に一枚出るか出ないかのクラス」 「★★★★★ 大傑作、不朽の名盤、その分野の古典と呼ばれるに値する」です。つまり、通常、「最高」と呼ばれるようなものは三つ星です。