難民問題への英国国教会の反応(まとめ)
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BBC で英国国教会大主教 Justin Welby 師の難民問題(Refugee Crisis, Refugee Issue)、移民問題(Migrant Crisis)への発言を聞いた。キリスト教の人道精神に基づいた人間的な温かみと、社会の一員として果たすべき義務の峻厳とがバランスを保ち、印象に残る。英国史でしばしば登場する「道徳上の義務」(moral duty)の観念が今も英国社会にあることを窺わせる。
ここ数日で明らかにメディアの用語に変化が見られる。9月4日時点でも、この問題の総称として BBC は「移民問題」「移民の危機」(Migrant Crisis)を使い、「移民」(migrant)を包括的視点としているが、現地からの報道ではリポータはもう誰も「移民」とは言わず、はっきり「難民」(refugee)という語を用いている。
【「移民」と「難民」について】
移民と呼ぼうが、難民と呼ぼうが、どちらも人間であることに変わりはない。
BBC におけるジャスティン・ウェルビ師の発言の最も短いバージョンはテレビ報道のダイジェスト。
発言の音声をほとんどすべて収めていると思われるのがラジオ番組(最初の約15分)。そこでは MP3 ファイルのダウンロードもできる。ここでは、短期的には人間的慈しみに基づく反応、長期的にはより構造的な対処の二側面の必要を説く。
さらにくわしいのが文章で書きとめられた発言。この危機に直ちに応える必要と、それを引き起こす根本的な動力因(drivers)に取組むことの重要性とを説く。また、歴史的に教会が果たしてきた「聖域」「避難所」(sanctuary)としての役割にも触れる。人間として最も傷つきやすい(vulnerable)人びとへの憐れみや共感こそが、問題解決の出発点にあるべきであるとの思いがにじむ。
www.archbishopofcanterbury.org