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Kindle Voyageで読書する


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Kindle Voyage Wi-Fi + 無料3G、キャンペーン情報なし
Amazon Kindle Voyage用ORIGAMI本皮カバー
Kindle Voyage用 事故保証プラン (2年・落下・水濡れ等の保証付き)



 Kindle Voyage を使い始めてから3週間ほどたった。やっと環境が落着いてきたので、現時点での使い心地を報告する。

 本体はWi-Fi + 無料3G、キャンペーン情報なしのモデル。予約注文してから約1ヶ月で届いた。カバーはORIGAMI本皮ブルー(写真では一番下の色)。保証が1年ついているがもう1年延長する「延長保証」のオプションをつけた。2年延長のオプションもあるが、いづれにしても延長保証オプションは端末購入日から30日以内しか加入できない。


 まず、使い心地であるが、(電子書籍の)読書環境としては申し分ない。これまでに経験した中で、文句なく最高の読み心地である。

 参考までに評者の電子書籍歴を書くと、Kindle はこれで五台目。他に kobo が三台。ぐんと古い話だが、NeXT 内蔵の電子図書館や、もっと古い話だと Apple IIe でも電子雑誌を読んでいた。IBM PC 環境の CD-ROM 媒体の電子書籍も読んでいた。総じて、紙の本(冊子体)にない検索機能を備えた電子書籍を愛用してきた。電子書籍がない場合は自分でテクストを入力し、コンコーダンス(総索引)・プログラムを自作していた。

 ということで、評者が電子書籍に求めるものは、読みやすさと、電子書籍ならではの機能(検索や付箋など)の充実である。


 読みやすさについて。解像度が 300ppi (pixels per inch) と公式に書かれているが、実際の横縦のピクセル数が書いてない。計算上は、対角線が 6インチで横縦比が 3:4 である場合、1080 x 1440 だと 300ppi になる。(計算は PPI Calculator で確認した。)


 この解像度は文字の読みやすさに反映している。字が精細に表示されるため、小さいサイズで表示しても十分に読みやすい。特に、筑紫明朝フォント(右のスクリーン・キャプチャ参照)で表示させると、やや細めではあるけれど、主観的には、例えば岩波文庫などの活字に近い感じを受ける。フォントの見やすさに関してはまだ kobo のほうが上であるので、今後に期待する。

 本のページとして見た場合に、Voyage は上質というか、上品である。おそらく、Carta電子ペーパーとフロントライトの質がよいのであろう。(右のキャプチャの表示より、実物の Voyage 画面はもっとシャープ。)

 つまり、うっかりすると印刷本を読んでいるのと変わらない感じをいだくので、他の電子書籍環境に較べて、かなり速く、快適に読める。これは性能の数値上の差異はわずかなことかもしれないが、読書の主観的体験としては大きな違いに感じる。

 読書はいろいろな状況でおこなう。机の上のように恵まれた環境なら、縦持ちで、ページめくりボタンを使えば快適である。一方、寝転がって読むときとか、電車の中で読むような場合は、(ページめくりボタンが使えないが)横持ちで読むと楽だ。


 検索機能は高速だけれど、やや不規則な感じがする。直観的に使えない。特殊な語句を探す場合に、ヒットしないことがあるようだ。工夫しないといけない。例えば、柳田国男の文章に現れる「物深い」を検索語に指定すると結果はゼロと表示される。iOS 上の Kindle アプリなどだと、一発でヒットするのとは対照的である。おそらく検索アルゴリズムが違うのであろう。試行錯誤の結果、それをヒットさせるには間に空白を入れて「物 深い」とすればよいことが判った。

 語句や文のハイライト機能は高速で快適である。この点は kobo との大きな違いと感じる。

 ORIGAMI本皮カバーは使いやすい。縦でも横でも本体を立てられる。本体裏にぴったりつける場合も、安定する。読書時に電源ボタンを押すときに、上のほうを一枚めくらないといけないのが玉に瑕であるが。

 総じて、使い勝手がよいので、読書に集中できることが最大の利点といえる。欠点はやや高価であることだけれども、それに見合う読書体験は得られるので、満足している。



 スクリーン・キャプチャについて。対角線上の両端をタップすればキャプチャできる(あとで PC に USB 接続して [PNG] ファイルを取出せばよい)。ただし、横持ちのときはこの方法ではとれないようだ。


 上のキャプチャ(日本語)は柳田国男の『山人論集成』から。これで、上記の「物深い」の検索を実験してみた。改めて考えてみると、iOS 上の Kindle アプリの検索は iOS の検索アルゴリズムを使っているために結果が違うのかもしれない。

 右のキャプチャ(英語)は Robert Graves の The White Goddess: A Historical Grammar of Poetic Myth (1948)から。欧文の書物を読むのは快適だ。日本語の書物より Kindle 化されている率が高い気がするので、読みたい本はだいたいこれで読める。