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柳田國男の山人論を一冊にまとめた刺激的書物


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柳田国男柳田国男 山人論集成』(角川学芸出版、2013)



「山人」の説話を集めた『遠野物語』を読んで、山人に関心を抱いた読者が次に手にとる本として、あるいは中沢新一の『精霊の王』のプロローグに柳田國男の『石神問答』が出てきたのに面喰らった読者がその方面を知る手がかりとして、あるいは日本列島の「古層の神」に関心をもつ人が柳田の関連する著作にあたる資料集として。

 動機が何であれ、本書はすこぶるおもしろい。

 柳田の「山人論」が対象とする山人とは、山中あるいは山の周辺に出没し、それとの出会いが古来の説話等に記録された、あるいは口頭で語り伝えられた謎の存在である。

 本書の編者の大塚英志が「あとがき」で、山人を「先住民の末裔」とした上でその姿を「山人や山姥・天狗などと見誤っ」てきたとみる観点が存在することを書く。柳田の山人論とはそういう観点の仮説だとする。

 この「あとがき」が急いで書かれ推敲もされていないように見えるのが残念であるが、収集された柳田の文章や、その友人の田山花袋の小説、さらには柳田とやりとりした南方熊楠の書簡など、素材そのものがおもしろく、まとめて読めるのがありがたい。


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