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哲学者が読み解くハリ・ポタ


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Gregory Bassham, ed., The Ultimate Harry Potter and Philosophy: Hogwarts for Muggles [The Blackwell Philosophy and Pop Culture Series] (John Wiley & Sons, 2010)


 ハリ・ポタ(ハリー・ポッター)に関する研究はようやく離陸しつつある。シリーズ最終の第7巻が出た2007年から3年たって満を持して登場したのが、この哲学研究者の考察を集めた論文集だ。

 映画版第7作の後篇をブルーレイで観た人は驚いたのではないか。スネイプ役の俳優が既に映画第1作の時点で作者から最終構想まで聞かされていたことが、附属するメイキング映像の中で明かされていた。役作りの上でどうしても知っておく必要があったのである。

 第1作の時点でそこまで知っていた人は作者以外にはごく限られていたはずである。他の俳優たちはもちろんまったく知らなかった。

 そのスネイプが救済の可能性について、何を教えてくれるかは、本書の重要な主題の一つである。

 その主題は第7巻において展開された魂の問題に深く関わる。魂そのものを、比喩的な意味合いでなく、文学の対象として直接に取上げた作品は非常にめずらしい。ドナルド・バーセルミによる短篇などが例外的に思い浮かぶが、哲学や神学でなく、文学で扱うのはまれである。

 その種の関心を抱く読者にとっては、本書の第1部 (The Hocrux of the Matter: Destiny, Identity, and the Soul) はまさにドンピシャだろう。


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