アイルランドを知るための60章 <追記>
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新刊情報。気鋭の著者たちによる、今のアイルランドを知るためのエリア・スタディ。
他の著者は池田寛子、大木京子、澤田倫子、高神信一、宮谷直樹、守安功、山本拓司の皆さん。なお、池田さんは日本におけるアイルランド(語)詩の若手研究者として傑出した方です。
明石書店のサイト から目次を引用します。
はじめに
1 アイルランド共和国の誕生まで
- 第1章 ケルトの再考――アイルランド人はどこから来たのか
- 第2章 聖者と学者の島――キリスト教の普及
- 第3章 北欧からの侵入者――ヴァイキングの時代
- 第4章 イングランドによる支配のはじまり――クロムウェルのアイルランド征服
- 第5章 独立への流れ――ユナイテッド・アイリッシュメンからフィーニアンへ
- 第6章 人口激減の引き金――ジャガイモ飢饉
- 第7章 海を越えたアイルランド人――移民
- 第8章 自由への戦い――アイルランド独立戦争
- 第9章 カトリック国家の成立――新生アイルランド
- 第10章 英国との合同か、アイルランド統一か――北アイルランド紛争
2 暮らしと経済
- 第11章 アイルランドのなかの土地柄――プロヴィンスとカウンティ
- 第12章 人口の三分の一が集まる首都――ダブリン
- 第13章 あいさつは天候ではじまる――灰色の空の下で
- 第14章 奇跡の九〇年代――失業率からみた経済成長
- 第15章 「ケルティック・タイガー」の秘密――経済急成長の舞台裏
- 第16章 産業基盤の二重構造――外資系企業と国内企業
- 第17章 EUのなかでの国造り――EU地域政策とともに進む国内開発
- 第18章 多元化社会の道を歩む――外国人増加と人種差別
- 第19章 アイルランド女性VSカトリック教会――離婚・中絶
- 第20章 家庭から社会へ――新しいアイルランド女性像
- 第21章 広がる貧富の差――アイルランドの階級と貧困
- 第22章 生活に浸透したカトリック的モラル――カトリック教会の影響
- 第23章 子どもは国の資源だから――教育重視の政策
- 第24章 子どもたちの恵まれたスポーツ環境――学校スポーツと地域クラブ
- 第25章 優秀な人材を育てる――高い大学進学率
3 仕事、家庭、余暇
- 第26章 会社のためでなく、自分のために働く――アイルランド人の仕事観
- 第27章 多様化する夫婦関係――今どきの結婚と出産・子育て
- 第28章 金曜日を待ちわびて――ウイークエンドの過ごし方
- 第29章 ビーチで過ごす休暇が夢――クリスマスとイースターの今と昔
- 第30章 すばらしきクラブライフ――余暇としてのスポーツ
- 第31章 伝統スポーツが意味するもの――ゲーリック・ゲーム
- 第32章 英国との複雑な関係の象徴――ラグビーとサッカー
- 第33章 ギャンブルは楽しい――ブックメーカーとナショナル・ロッタリー
- 第34章 出会いの場を求めて――マッチメーキングからダンスパーティまで
- 第35章 ビール片手に話が弾む――パブという社交場
- 第36章 ホスピタリティと出会う旅――B&Bに泊まる
- 第37章 ジャガイモ王国の食生活――アイルランドはおいしい
4 アイルランドを象徴する有名人たち
- 第38章 アイルランドの守護聖人――セント・パトリック
- 第39章 独立運動のヒーロー――マイケル・コリンズ
- 第40章 不人気な建国の父――エイモン・デ=ヴァレラ
- 第41章 アイルランド一の大富豪――トニー・オライリー
- 第42章 国民的エンターテイナー――ゲイ・バーン
- 第43章 まぼろしのW杯主将――ロイ・キーン
- 第44章 人権を守るという使命――メアリー・ロビンソン
5 芸術と文化の大国として
- 第45章 文学の声がこだまする――声と風景でめぐるダブリン
- 第46章 もう一つの世界へのまなざし――アイルランド文学の可能性
- 第47章 物語の秘める真実――アイルランドのフォークロア
- 第48章 民衆の劇場――その昔と今
- 第49章 急速に変化する社会を映す鏡――アイルランドの映画
- 第50章 国際競争にもまれつづけて四〇年――アイルランドのテレビ
- 第51章 公用語はアイルランド語――アイルランド語の未来
- 第52章 文化とアイデンティティ――ゲーリック・リーグが果たした役割
- 第53章 音楽から探るアイルランド人の世界観――アイルランド音楽の音階
- 第54章 グレート・キャラクター――アイルランド音楽の構造
- 第55章 酔っぱらうと弾けないヴァイオリン?――アイルランドの楽器
- 第56章 Poor People――アイルランドの音楽を支える人びと
- 第57章 U2からウエストライフまで――最新の音楽情報
- 第58章 官能のアイリッシュ・ダンス――リバーダンス旋風
- 第59章 週末はナイトクラブで――都会の若者文化
- 第60章 精神的な充実を求めて――21世紀アイルランドの展望
コラム1 ゴミ問題への新たな挑戦
コラム2 白熱するパブ禁煙論争
コラム3 新聞とラジオ
コラム4 アイルランドのダンス
アイルランドを知るためのブックガイド
これだけの内容を盛込んで289頁。お正月の読書に好適。
ひとことだけ。「エイモン」はないでしょ。必ずしも不人気ではなく、アイルランド語話者の間では彼がいなければ今日のアイルランドはないという評価をする人もいることが、たとえば TG4 の対談番組などを見ていると分かる。このことが示唆するのは、池田さんを除いては情報源が英語に限られる?
<追記>
多岐にわたる内容の書だから、参照用に使うには索引が不可欠と思い、本屋で調べてもらうと索引は附いていないことが分かり、購入を取止め。これでエリア・スタディ? 余計なことを書くと、私が和書の研究書をめったに買わないのは、索引に対する出版社の意識が低すぎるから。あんなもん、C 言語で一発で書けるんだけどなあ、やる気があれば。頁数の制限なのだろう、おそらく。