Tigh Mhíchíl

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妄想が現実に


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 先に「歌もシャン・ノース・ダンスもどちらもやる人がいるのではないか」という意味の妄想を書いたが、その直後に本当にそういう人を見ることになるとは思わなかった。
 TG4(アイルランド語テレビ)の対談番組に出てきたその人は、詩人であり、まず冒頭で詩を朗誦した。そのうちに、話は歌のことになり、今度はいい喉で歌う。司会の名歌手が思わず「素晴らしい」(an-deas)とコメントするくらいのうまさだ。驚いていると、そのうちに話は何とダンスのことになり、最後には達者なシャン・ノース・ダンスを披露する。いやあ、驚いたのなんの。あとで調べてみると、この人、マールティンさんは5年位前のエラハタスのシャン・ノース・ダンスのチャンピオンであった。うまいはずである。
 世の中にこんな人が本当にいるとは思わなかった。私はアイルランドの詩歌を研究する者だが、その私でも知らない詩人だった。こんな人がゴロゴロしているのかと思うと、空恐ろしいというより、嬉しくなってくる。やはり、あのあたり(コナマラ文化の地)は詩才、歌の喉、ダンスの足の三拍子揃った特異地帯なのだ。この三つの才が何の矛盾もなく自然に共存しているところが凄い。普通はどれか一つに秀でていても他の方面は素人芸のことが多いのだが。