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アイルランドは2005年居住地として最高


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 英 Guardian 紙11月18日付の 記事 を読むと、EIU の調査について、さらにいろいろと興味深いことが分かる。
 この調査は、2005年に住むにはどこが最もよい国であるかを調べる目的でなされている。調査を行った EIU というのは、エコノミスト・グループの調査部門の会社で、国や産業や経営についての情報をエグゼクティブ向けに販売している。従って、この調査結果は単なるランキングである以上に、ある真剣な意図が込められていることになる。
 アイルランドについてみると、2005年には一人当たり GDP国内総生産)で世界第4位となる見込みである。アイルランドはすでに数年前に一人当たり GDP で英国を追越している。2003年 IMF の数値ではアイルランドの 37,822 ドルに対し、英国は 29,642 ドル、日本は 32,859 ドルである。
 前年2002年の一人当たり GDP を見ると、アイルランド(世界第6位)の 31,300 ドルに対し日本(世界第7位)は 31,200 ドルであった。国の経済規模を一人当たりで見ると、アイルランドは日本も追越している。
 この GDP だけで言うと、米国はルクセンブルクに次ぐ世界第2位なのだが、今回の EIU 調査では13位にランクされている。英国の29位などと考え併せても、いかに経済指標だけで国民の幸福度は計れないかが分かる。家庭や共同体が不安定なら、幸福感は減少するのである。
 そういう意味では欧米のいわゆる大国(米英仏独)は小国(スウェーデン、イタリア、デンマーク、スペイン等)に比べて軒並みランクが低い。
 GDP でも 9,810 ドルしかないロシアは、この調査でも105位と、どん底に近く、建直しの道は遠い。
 この種の調査は、物質的安寧のみでは生活の質が計れないということの証左として、近年注目されているという。お金はもちろん重要であるが、収入が大幅に増加しても満足度の増加は小さいことが、この数十年の調査で分かっている。
 調査機関によって重点項目は多少違うだろうけれど、EIU の場合は、健康、幸福(well-being、満足のいく状態)、政治的安定度、治安にウェートが置かれている。それよりも加重度が低いのは、気候、職業の安定性、政治的自由、男女の平等といった項目である。
 今回の EIU の調査結果は『2005年の世界』(The World in 2005)として出版される。今年で17年目となる。
 ちなみに、もっと主観的な指標を使った調査の場合は結果が異なってくる。例えば、「ザ・ニュー・サイエンティスト」誌が昨年発表した調査では、自分が幸せだと思っている人の割合はナイジェリアが最も高かった。続くのがメキシコやベネスエラ(ベネズエラ)などであり、EIU の調査とは全く違う。
 以上の Owen Bowcott の分析に続き、いよいよ第1位のアイルランドと最下位のジンバブエの分析が始まる。私にとってはここが本題である。
 Angelique Chrisafis によるアイルランドの分析を引用しておこう。

Ireland

First there was a national outcry that a basket of bread, milk and vegetables cost more in Dublin than anywhere else in the eurozone. Then the president issued a plea last week for post-Celtic Tiger Ireland to return to community values. So the Irish were baffled to wake up yesterday as the world's most envied country.

Ireland tops the survey because the 90s boom brought affluence and preserved Eamon de Valera's vision of a strong community.

Ireland is the fourth richest country in the world based on per capita income. But a UN report has warned of the gap between rich and poor.

Father Harry Bohan, who runs Céifin, an organisation examining values, said after a series of tribunals into government corruption and the church's soul-searching, Ireland was now "seeking a new spirituality".

考えさせられる内容である。