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'Da Vinci Code' 2006年に映画化


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 ダン・ブラウンThe Da Vinci Codeニューヨーク・タイムズのハードカヴァー・フィクションのベストセラー・リストに86週載り続けている、つまり、まだペーパーバックを出さなくてもハードカヴァーでじゅうぶん商売できる状態が一年半続いているのだが、2006年に映画化されることが決まったらしい。米欧の知識人などに深刻なショックを与え続けるこの書がハリウッド化されるときが来た。
 主演の象徴学者ラングドン候補にトム・ハンクスが挙がっており、現在交渉中という。
 監督はロン・ハワードだが、何といっても注目は脚本をだれが担当するかだ。これがアキヴァ・ゴールズマン(Akiva Goldsman)だという。ハリウッド映画だから仕方ないが、これで、まず、神学的には目に見えない偏向が加えられることは間違いない。私の理解では原著にはその偏向はない。関係者はみんな分かったうえで映画化の話を進めているのだ。ハリウッド映画とはそういうものである。

 ところで、ミュージック・プラントのウェブサイトにこの書(の日本語訳?)があとに何も残らない「ハリウッドのエンタテイメントみたいな本」との評がある。これは日本の平均的な反応だろうか。
 確かに、宗教的歴史的背景を捨象しミステリー作品としてだけ見ればそのような反応はあり得るだろう。サスペンスあふれるミステリー小説の体裁をとっているから「エンタテインメント」の要素があることは否定しない。
 だが、あとに何も残らないということは、この書の場合には、欧米の読者においてまずあり得ないだろう。それは、神学的にこの書をどう捉えるかということに関わる。
 正統的な神学観に地殻変動を起こすほどの衝撃をこの書は秘めている。だからこそ、欧米では真剣な反論がいくつも出ている。
 かりに、この書に霊性を求めるとすれば、その一つは作品中の『道』であろう。ブラウンが『道』を読んだとすれば。