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Phil and June Colclough: Players from a Drama


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  • Phil and June Colclough: Players from a Drama

(Celtic Music CMCD 060, 1991)

 メアリ・ブラックやディック・ゴーハンなど、さまざまな歌い手がとりあげている名曲 <Song for Ireland> (1982年)を始め、多くの佳曲を書いたフィル・アンド・ジューン・コウルクラフのアルバム。同曲も含まれている。
 妻ジューンのほうは惜しくも10月12日に他界したとのニューズが先日 BBC Radio 2 のサイトで流れた。病気だったらしいが、その後も詳細は不明。ご冥福を祈るばかりである。

 このみずみずしいアルバムを聞いていると、昨日引用したシーフの言葉「古典的で確かな芸術様式というものは、時代の流れに翻弄されたりしない」を想いだす。いま聞いてもまったく色あせていない。もっとも、ジューンのギターにのせてフィルが歌うというフォークソングのスタイルは「古典的な様式」というには、もっと現代の民衆に近い今日的な様式のものだとは思うけれど。

 今でもじゅうぶん聞く価値のあるアルバムだが、残念ながら入手は困難。CD または LP が中古で見つかるかもしれない。インターネット上には殆ど情報がないので、まず、曲目を書いておこう。

  1. Blood on the Sails
  2. Diglake Fields
  3. Lights across the Bay
  4. Catalonia
  5. Song for Ireland
  6. Ibo Girls
  7. Dublin Town
  8. Billy Reeves
  9. The Lion Speaks
  10. Goodbye America
  11. The Snowy Cordillera

 全曲、夫妻のオリジナル。自作集としては飛びぬけた水準である。これらの歌がどうやって出来たかについてライナーノーツに記してある(無署名)。

They [these songs] were written over a number of years and the influences on their writing are varied.

Places play an important part, particularly Ireland, Africa and America, as do people, poets, writers and singers.

This record aims to capture the spirit of the place found in the songs. It is a collaboration of ideas between Phil and June Colclough and Martin Simpson.

 影響を与えた国の一つにアフリカと書いてあるけれど、有名なトラック9 <The Lion Speaks> ではネルスン・マンデラやスティーヴ・ビーコー(ともに南アフリカの反アパルトヘイト運動家)のことが歌われる。
 マーティン・シンプスンは本アルバムではギターやハーモニカを演奏し、アルバムのプロデュースもしている。

 トラック3 <Lights across the Bay> は米国のシンガー Rick Lee が取上げている。

 トラック5 <Song for Ireland> はあまりにも有名だけれども、珍しいヴァーションとして、Matt Connolly による無伴奏歌唱が こちら で聞ける。