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Quinn 説への O Laoire の反論(1)


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 アイルランドシャン・ノース歌唱の起源に関するボブ・クィン(Bob Quinn)の説を見てきたが、それでは彼が攻撃しているリリス・オ・リーレ(Lillis Ó Laoire)の言い分はどうなっているのか。

 今この時点に立ってみると、両者の違いはだんだん浮き彫りにされてくるように思える。つまり、クィンは「非歴史」「起源」に関心があり、オ・リーレは「歴史」「権威」を問題にしているということである。クィンはコナマラのシャン・ノース歌唱が北アフリカタタールとの類似性を有することをもって、ケルト以前の海洋文明の広範な影響を素朴に論じる。対して、オ・リーレは「起源→価値」という権威付けに関わる動きを警戒する理論的姿勢が鮮明である。

 ということは、両者は立論の場がまったく異なるということである。これではかみ合うはずもない。しかし、ことはシャン・ノース歌唱に関わることである。これからも両方の立場が議論を続けるに違いない。

 いまマンスターは仮に脇に置いておくにしても、コナマラとドネゴールの価値観の差はアイルランド伝統音楽に関心を抱くすべての人が知っていてよい問題である。ことによると、「ケルト」でアイルランド音楽を斬ってしまう立論も含め、従来の議論がふっとんでしまう可能性もある。シャン・ノース歌唱はアイルランド音楽の精髄にして核の部分であるとされているからである。(つづく)

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