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Four Men and a Dog: Long Roads


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 フォー・メン・アンド・ア・ドッグの4枚目。ウッドストック録音の1996年のアルバム。

 Four Men and a Dog: 《Long Roads》
  (Transatlantic TRA CD 223, 1996)

 米ニューヨーク州ウッドストックにある Levon Helm Studios で録音されたというだけでなく、音楽的にもウッドストック〜ベアスヴィル系統の音楽に近い雰囲気がする不思議なアイルランド音楽。

 四人全員アイルランド出身ながら、カハル・ヘイデン(フィドルバンジョー)とジェリー・オコナー(バンジョーフィドル、ヴォーカル)とを除けば、伝統音楽色は薄く、どちらかというとシンガー・ソングライターのケヴィン・ドアティ(ヴォーカル、ギター)のカントリー・ロック色が全体を覆っている。もう一人のジーノ・ルパーリ(ヴォーカル、バウロン)はまた少し毛色が違うが、本アルバムではトラック3 <Nancy> でいい歌を聞かせる。

 トラック5 <The Sally Gardens> は相当速いテンポで、名人カハルのフィドルはさすがというしかない演奏。トラック10 <Hold On I'm Comin'> には参った。ぼくはサム・アンド・デイヴも生で見たことがあるが、ここでのアレンジは想像もつかないもの。ソウルフルなカハルのフィドルにからむジェリーのバンジョーがいかしてる。曲としては珍品といってもいいが、一度聞くと忘れられない演奏だ。

 全体に米国音楽志向が濃厚なのはそれはそれでいいのだが、英語の発音だけはどうしようもない。ドネゴール出身のケヴィンはときどき無理に米国の発音を真似ているが、全体としてはことばはまったく米語には聞こえない。だから、不思議な感じ。

 なお、この盤は世界的に廃盤だそうだが、こちら ではまだ在庫があるとのこと。