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Irish Music DVDs (Best 2/4)


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 クリスティ・ムア(Christy Moore)の最近出た CD ボックス・セットはまだ入手していない。けれど、彼の DVD は見た(ぼくのレヴュー)。ごく最近のプランクスティの DVD と甲乙つけ難い。ということは、アイルランド・フォーク音楽の DVD としてこの二つがベスト2ということになる、ぼくの見た範囲では。

  • Christy Moore: Uncovered (Sony Music 201544 9, 2001)

 こうして見ると、フォーク方面のベスト2はどちらも Sony Music からのリリースである。ただ、クリスティのほうはリージョン2のPALで、プランクスティのほうはたぶんリージョン0。

 ついでながら、少しポップ〜ロックよりのフォークのベスト2も挙げておこう。

  • Sinéad O'Connor: Goodnight Thank You You've Been a Lovely Audience (Eagle Vision EV300449, 2003)
  • Paul Brady: The Paul Brady Songbook (RTE/Abirgreen PBMDVD005, 2002)

 ポップ〜ロックよりなんて書いたけれど、上のシネード・オコナーの DVD は実はアイルランド詩歌に関心ある人にはベストの DVD である。ただし、本篇よりむしろ附録のほうがだが。この DVD には 'The Song of Heart's Desire' というドキュメンタリーが附属しており、その中でアイルランド語詩歌に関する最高権威の一人リリス・オ・リーレ(Lillis Ó Laoire)が数々の歌について解説しているし、ラーサリーナ・ニ・ホニーラ(Lasairfhíona Ní Chonaola)が無伴奏で歌っているからである。こんな DVD は他にない。
 そして、このシネードの DVD や、ポールの DVD、それにクリスティの DVD、プランクスティの DVD、全部を通して何かつながっている感じがするのである。それは言葉にすれば「伝統」ということだろうけれど、アイルランド音楽に対する共通の了解といえばよいだろうか。共通のレパートリー(の背景)についての共通の理解、暗黙の理解といったものが強く感じられる。コメントを求められれば、たとえば研究者のオ・リーレはそれを言葉にはする。けれど、言葉にはしない他のアーティストたちも、そのことは当然の前提として知っている雰囲気が濃厚にするのである。こういう名状しがたい雰囲気については CD では窺い知れず、やはり映像で見るほかない。からだ全体から立ちのぼるものを見る必要があるからである。

 まだ DVD 化はされていないけれど、もうひとつ凄い映像がある。昨年 RTE で放送されたフランク・ハートの特集番組だ。ポールのそれのように DVD 化されないとも限らない。フランクはアイルランドの歌に関する知識にかけてはおそらく五本の指にはいるであろう。