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Brady and Tunney


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 先にパディ・タニーの 《The Stone Fiddle》 に触れたとき、その残響がポール・ブレーディ(Paul Brady; 1947- )にも聞こえると書いた。

 また、Rambling House から引くと、ポールは R & B グループの Kult から出発し、ハーモニー・ヴォーカルを重視する The Johnstons を経て、曲を書くようになる。

 一方で歌の名人たちに真剣な興味を向ける。具体的には、パディ・タニー(Paddy Tunney; 1921-2002)、ダラフ・オ・コイン(Darach Ó Catháin; 1922-89)、ジョー・ヒーニー(Joe Heaney; アイルランド語名 ショーサヴ・オ・ヘーニ Seosamh Ó hÉanaigh, Seosamh Ó hÉanaí, Joe Éiniú ; 1919-84)らの歌に興味を抱く。確かに、ポールの若かりし頃のソロ歌唱には彼らや、さらにはジョーディー・ハナ(Geordie Hanna; 1915-87)の残響が聞き取れる。

 こうしてポールに影響を与えた人々(=ポールが必死に吸収した歌い手たち)をながめてみると、自分より25歳から30歳くらい年上の名人たちに対する敬意が感じ取れる。彼はどうしてこのような態度をとったのだろうか。同世代の「フォークをもう一つのイディオムと見なす」ポップやロック志向(=伝統音楽の素養には無関心)のアーティストとはどこが違うのか。

 ぼくは、これは彼が黒人音楽から出発したからではないかと思っている。