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Corcoran, Ni Dhomhnaill: Sailing into Walpole's Marsh


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 このカセット・テープは詳細は不明ながら、傑作。CD 化が待たれる。

Seán Corcoran, Mairéad Ní Dhomhnaill: 《Sailing into Walpole's Marsh》
(Green Linnet CSIF 1004; 1983)

 ショーン・コーコラン(1943- ; 現クラン Cran)とマレード・ニ・ゴーナル(1952- )の無伴奏歌唱。加えて、メーヴ・ドネリー(Maeve Donnelly)のフィドルと、エディー・クラーク(Eddie Clarke; 1945- )のハーモニカ。

 曲目は次の通り。歌のみ括弧内に歌唱者名を挙げる。

SIDE A
1. The Girl that Broke My Heart / Sailing into Walpole's Marsh
2. Bold Doherty (Seán)
3. Two Reels
4. Barbara Allen (Mairéad)
5. Music in the Glen / The Green Fields of America
6. Johnny and Molly (Seán)
7. The Humours of Drinagh / Down the Back Lane


SIDE B
1. The Mice Are at It Again (Seán)
2. Ranntai Fheilinidh na Fidile (Mairéad)
3. Two Jigs
4. Johnny Scott (Seán)
5. The Morning Star/The Mountain Top
6. The Nobleman's Wedding (Mairéad)

 ショーンの声は今よりだいぶ若い、当たり前だが。
 ハーモニカ奏者は上に書いたとおり、カヴァン県出身の Eddie Clarke だが、カセットのライナー上の表記は Eddie Clark となっている。誤植。グリーン・リネットからはもう一作 《Crossroads with Joe Ryan》 (Green Linnet CSIF 1030; 1981) というカセットがあったが、廃盤。エディーのハーモニカ奏法の詳細については こちら に記述がある。
 東ゴールウェー出身のフィドラー、メーヴもなかなかいい。このメーヴの頁 によると、本盤は1976年の録音。同年、米国の首都で開催された建国二百周年アメリカン・フォークライフ祭(Bicentennial Festival of American Folklife)に招かれたアイルランドの25名の音楽家中、メーヴは最年少だったそうだ*1。同祭で訪米した四人は一週間滞在を延ばし、その間にこの録音がおこなわれた。つまり、本アルバムは1970年代の二十代、三十代の活きのいいアイルランド伝統音楽家の姿を捉えた貴重な録音ということになる。グリーン・リネットよ、これは廃盤にしてくれるな。

 こちら の頁によると、本カセットは元は Green Linnet SIF 1004 (1977) という LP だった。その LP 盤を見れば、さらに詳しい情報が分かるかもしれない。さらにその前はレーベル名は Inisfree だったようだ。

 どのトラックもすばらしいが、おそらくベストはB面の6曲目 <The Nobleman's Wedding>。ここでのマレードの歌は絶品。このためだけでも本作を入手する価値がある。

*1:メーヴ自身のサイトには Bicententennial Festival of American Folklore と書いてある