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アイルランド語の姓に関する真実 3


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Mac an Bhreitheamhan という姓は英訳されて Abraham となった → ホント

 MacLysaght の挙げる例の中でも最も信じがたい例がこれ。Abraham はアイルランド以外ではもちろんユダヤ人の祖アブラハムのことで、セム語派の名前である。*1

 Mac an Bhreitheamhan (「判事の息子」の意)が英語化されると、まず MacEbrehowne などになり、さらにつづめて MacEbrehan や MacAbrehan になり、のちには MacAbreham となって遂に Abraham となる。したがって、ヘブライ語とは何の関係もなくたまたま同じ綴りになったのである。他の形としては Breheny や Judge や FitzAbraham や MacAbraham や Brohoon がある。

 こうやって見てくると、チューン・ファミリー*2ならぬネーム・ファミリーを想定して考えないと、名前一つとってもまったく正体がわからぬことになる。

*1:ふつうはヘブライ語で「多くの人の父」の意とされるがアラビア語説やアッカド語説などがある

*2:民族音楽学の用語でバラッドなどでグループ化される曲の集合