Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

iPod と Wonder Juke


[スポンサーリンク]

 きのう書いた Wonder Juke はもう So-net 専用サイトに移行してしまっていて先行きがやや不透明だが、ここで最近解禁の話が話題になっている iPod / iTunes Music Store との音質の比較をしてみる。

 こちらでは書いていないが、以前、iTunes 4.5 (Windows) については音質を細かくチェックしたことがある。その際にいろんな疑問点が出てきていたのだが、少し謎が解けてきた。助けになったのは藤本健さんの昨年11月の記事

 まず、Total Recorder との相性の悪さの問題。あまり一般には知られていないソフトかもしれないが、これは「オーディオドライバにデータが流れる直前で音をキャプチャするツール」(藤本健さん)で、ぼくは長年愛用している。現行版は 4.5 と思う。ぼくは iTunes 4.5 については次のように書いた(Teach Mhichil BBS より)。

AAC, Apple No Loss Encoder

 iTunes 4.5 (Windows) を入手していろいろ条件をかえてテスト(すべて Time Domain Mini で再生)。Datgan に対しては AAC でもまあ聞ける水準。だが、Vintermåne は AAC では聞くに堪えず、Apple No Loss Encoder でも最後まで聞けなかった。声と楽器と両方澄んだ音で、めちゃくちゃ音が抜けた録音の場合、現在の codec でもどうもまだ難しいようだ。Mac だと結果は違うかもしれない。だが、現状では浸りきって聞ける水準ではない。ただ、確かに iTunes はソフトとしては他のものよりは使いやすい。ただし、まだまだ改良の余地がある。それから、Total Recorder とは非常に相性が悪い。仕方なく、一時的にTotal Recorder は外した。
(5/19)


iTunes その後

 どうにも納得が行かないので、Vintermåne のトラック10 'Hja Gud er alltid gleda'(4' 50")を iTunes で用意されているすべてのエンコーダでやり直してみた。
 結論では、今の時点ではぼくの耳では MP3 (192kbps) が及第点に近い。もちろん、wave (49MB) や aiff (49MB) や Apple Lossless (25.3MB)も悪くはないが、MP3 の 192kbps (6.7MB), 160kbps (5.6MB), 128kbps (4.5MB), AAC (4.5MB) を、サイズを勘案して比べると、MP3 (192kbps) か、場合によっては AAC というのが今のぼくの選択。それにしても、このトラックは本当に再生が難しい。Vintermåne で一番好きな曲だから、ぜひともライブラリには入れたいのだが。
(5/20)

 ここに書いた iTunes と Total Recorder との相性の悪さについては、藤本健さんの上記の記事にこうある。

調べてみると、AACデコーダiTunes 4本体が持っているのではなく、いっしょにインストールされるQuickTimeが持っているようだ。

 ははあ。ということは、オーディオドライバに行くまでの段階でQuickTimeの制御下に入っているのかもしれない。となると、これはさまざまの組合せによる相性がからんでくるだろうなあ。ハード的にもソフト的にも。

 いずれにしても、ぼくの印象では上に書いたように、AAC は特別音がよいということはない。それどころか、Vintermåne は AAC では聞くに堪えないくらいのレベル。どうしてなのかを解く鍵が、これも藤本健さんの記事にある。

 この実験をする前に、とりあえず耳で音を聞いたところ、〔AAC は〕128kbpsのMP3に比べてすごくいいという印象はなかった。倍音成分の多い音色などはMP3と同じような感じでくすんでおり、MP3とそれほど変わらない。ただ、全体を通して違和感はなく、キレイな音であることは確かだった。
 その上で、改めてこのグラフ〔WaveSpectra による〕を見てみると、やはり高域は16kHz以上でバッサリと切られていることがわかる。

 これはぼくも同様の感想だ。特に、Vintermåne のように高音域に複雑な倍音成分がある音楽の場合には、AAC だとちょっときつい。

 きのう試聴した128kbps の Wonder Juke のほうが明らかに音はよかった。といっても、Vintermåne のようなソースを聞いてみないと本当のところはわからないが。

 あと、聞く際の環境も大いに関係しているだろう。iPod ユーザはおそらくイアフォンないしヘッドフォンで聞くだろう。ぼくは各種のヘッドフォンに関心があり、テストしようと思えばできるけれども、現在は、TIMEDOMAIN mini を基準として音を判断することにしているので、以上のような結果になった。まとめると、音質面だけでいうと、ぼくにとっては、現時点では (iPod /) iTunes Music Store の組合せより Wonder Juke のほうが魅力的だということだ。