Tigh Mhíchíl

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Abraham, Martin and John


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 今日は五月晴というにふさわしい青空だった。陰暦皐月はちょうど今頃になる。広辞苑を引くと「梅雨の晴れ間」とある。

 レイ・チャールズに関する世界の追悼記事は今日になってやっと勢いがとまった。千本くらいのところで落ち着いたようだ。

 レイとキー坊(上田正樹)にまつわる個人的な想い出を一つ。

 たまたま、あるとき石田長生(ギター、歌)やクンチョウ(ギター、歌)や藤井(ベース)やゴロちゃん(ドラムズ)やキー坊(歌)と一緒に一回限りのセッション・グループをやることになった。キー坊は、MZA(マッド・ザイガル・アソシエーション)でサックスを吹いている頃から聞いていたが、どれくらいレイ・チャールズを尊敬しているかは知らなかった。

 ステージ上の演奏としては自分のピアノがイントロになる<Hallelujah, I Love Her So>の印象が深いが、歌としては<Abraham, Martin and John>が強烈であった。確かその歌のリハーサル中のことだったと思うが、キー坊がカセットを聞きながらレイのすぐ後について歌っているのを見た。それが寸分違わず同じ声同じ節回しであったのに仰天したことを今でもよく覚えている。楽器でその種の人はいくらでも見たことがあるが、歌では初めてだった。特にこの手の歌は、レイもキー坊も天下一品だ。思えば、生の声の素晴らしさに目覚めたのはこの時だったかもしれぬ。それは歌の魂が直に伝わるような気がした瞬間だった。その後、キー坊とは別のステージやテレビCMなどで何度か一緒になったが、この時の歌の印象が今でも強く残っている。