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アイルランド語の姓名における O (3)


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 アイルランド語の第一変化名詞のつづき。

 第一変化に属する名詞は、すべて男性名詞で、広子音で終わる*1 属格単数形を作るには、語末を狭子音にすればよい。

 広子音を狭子音にする(caolú)方法にはいくつかある。一番簡単な方法は次の通り。

前に i を附ける

bád → báid

その他、いろいろな方法があるが、人名で出てくる例では次のようなものがある。

Cárthach → Cárthaigh

この場合、語末が -ach から -aigh に変わる。*2 Mac Cárthaigh というような名前の場合がそれに当たる。Foclóir Póca の分類で言うと、m1 という活用のうち、bacach → bacaigh のタイプに相当する。

 第一変化に属する男性名の例を挙げておこう。右に Ó に続く(軟音化していない)属格単数の形を挙げる。

第一変化に属する男性名

Brian → Ó Briain
Bruadar → Ó Bruadair
Cadhan → Ó Cadhain
Conall → Ó Conaill
Dónall → Ó Dónaill

 こぼれ話を。上に例示した Brian と言えば、どうしても思い浮かべるのが、アイルランド王 Brian Boru (941-1014、在位 1002-14)。伝えられるところによると、姓(surname)を発明したのは彼だと言われている。従って、Ó Briain (O Brien, O'Brien) はアイルランド史上、最も由緒ある名前ということになる。英王室も、それから Ronald Reagan も Brian Boru の血を引くと称している。(Ida Grehan, The Dictionary of Irish Family Names, 1997, pp. 7, 37)

 ややこしい話をするようだが、Brian の属格単数の形は本当は Bhriain である (Brian Mac Giolla Phádraig, Gearrchúrsa Gramadaí, n.d., p. 58)。それが上のような形になっているのは、Ó に続くからである。Ó や Mac は軟音化を引起さない。この本来の形はある条件下では姿を垣間見せることがある。

 ただし、Ó は母音が続くときには前に h を附す。その結果、英語化して H で始まる姓となることがある(Ó hÓgáin → Hogan)。

 いや、面白い。実際、人名をやりだすと底なしなのだ。有名な人名研究者は25年間もその研究に捧げたらしいが、深入りする前にぼくは手をひくぞお。やらねばならないことがあるので。(つづく)

*1:ただし、広子音で終わる男性名詞がすべて第一変化名詞とは限らない

*2:多音節語における caolú に当てはまる [Gramadach na Gaeilge agus Litriú na Gaeilge, 1998, p. 2]

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