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NEET という言葉を調べてみたら


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 NEET という言葉がある。「無業者」と訳すらしい。普通の辞書には出てない。もちろん、「英辞郎」にも出てない。
 英国の労働政策で用いられるようになったアクロニムらしい。Not in Employment, Education and Training の頭文字を取った。つまり、雇用されておらず、教育も受けておらず、訓練も受けていない、という状態を指す。働く意思がないので、求職もしないから、『13歳のハローワーク』のような本も効かない。
 これは失業者ではないから、失業者統計にも数字が出てこない。だけど、産経新聞(5月17日付)によると、日本では2003年度は63万人もおり、15-34歳の約2%にもなるという。10年前の1.6倍だ。
 この問題を考えるうえでは、厚生労働省所管の特殊法人日本労働研究機構の論文が参考になる。

 ところで、同じ機構の別の論文に、「アイルランドの雇用における年齢差別禁止法制」(牧野 利香著)というのがあって、EU の中でも包括的なその種の法制を有するのがアイルランドなのだそうだ。興味深い内容だが、やっぱりと言うべきか、アイルランド語は初歩的知識もないことを露呈している。発表した媒体が媒体なだけに、これを孫引きして辞書や事典に記載されることがないように、今後は慎重なチェックを望みたい。
 14頁の上のほうに「警察(Garda Cíoshána)」とある。これは、もし、警察官という意味で用いているなら、garda síochána となるだろう。文字通りには「治安を守る者」ということで、policeman と訳す。この人たちが属するものとしての警察組織ということなら、An Garda Síochána で、the Civic Guard と訳したりする。この論文では雇用の存する場ないし業種を述べているようだから、An Garda Síochána と書くべきだろう。

 ところで、ここのブログなどで、繰返し、日本におけるアイルランド語に対する無理解を批判しているが、それは適当な書物が日本では出ていないのがひとつの原因だろう。日本でほぼ唯一ともいえる、適任の学識を備えたA氏またはB氏またはC氏(以下、略)が日本語による著述をしてくださることを切に望む。