Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

モダニズムと神智学 Modernism & Theosophy

野上秀雄『歴史の中のエズラ・パウンド』 考えてみれば、エズラ・パウンド(米国詩人)は片山広子(日本の歌人、翻訳家)や芥川龍之介と同時代人である。パウンドが1885年生まれ、片山が1878年生まれ、芥川が1892年生まれである。 それがどうしたと言われそ…

詩誌「びーぐる」第7号「詩の書き方」特集号

大阪の詩誌「びーぐる」第7号(澪標、2010年4月) いちおう、まじめな意図をもって企画されたと思われる特集「面白クテ為ニナル 詩の書き方・実践篇」。 しかし、実際にはそれが困難なことは詩人自身が一番よく知っているだろう。それでも、誠実にその問いに…

英詩のマガジンにニーズはあるのだろうか

英詩の基礎知識のような本は以前は結構見かけたものだ。 けれど、最近は、とんと見かけない。需要がなくなったのか、読む人がいなくなったのか。 でも、世界的には英詩の読者は減っている気配はない。ジャック・アタリの本を開いても、エマニュエル・トッド…

Liam O Muirthile, 'Tine Chnámh'

〔蔵出し記事 20050928〕 2005年の夏、ゴールウェーで少し劇を見た。一つはドルイド・シングの渾名で呼ばれるドルイド一座によるシングの上演。世評は高かったが、私は必ずしも感心しなかった。特に、デアドラこと「悲しみのデルドラ」 Deirdre of the Sorro…

'The West's Awake' by Thomas Davis

'The West's Awake' by Thomas Davis Lumiere のアルバム Special Edition (2010) のトラック4に入っていた歌 'The West's Awake' は Thomas Davis (1814-1845) の書いた愛国詩に曲('The Brink of the White Rocks' といわれる)をつけたものだ。 [Thomas D…

Seosamh MacCathmhaoil に関する2つの記事

アイルランドの詩人 Seosamh MacCathmhaoil (Joseph Campbell) に関する記事が2016年1月に2本でた。めずらしい。 www.theguardian.com Lady Godiva and Me: The Footnote Poets 2a/4 Joseph Campbell and Literary History. 1つ目は英ガーディアン紙の「今週…

歌集としての詩編を祈り歌う

典礼委員会詩編小委員会『詩編―ともに祈りともに歌う』(あかし書房、1972) 詩編とは歌集である。本書あとがきに〈詩編は、紀元前三~一世紀ころ、イスラエルの民の共同の祈り、集会の歌として集められたものである〉とある。 本書はカトリック教会で共同の…

初春三句

時のかなた昇天すもの日のはじめ 飯田蛇笏風花を神の声かと仰ぎたる 遠藤若狭男方舟に在るかの目覚め雪降れり 宮脇白夜 いずれも『福音歳時記』(ふらんす社、1993)より。 飯田蛇笏の句以外は雪の降ることにはっとした驚きが感じ取れる。降る雪をじっと(仰…

Tryptyk Rzymski - Jan Pawel II 感嘆(JP II の詩)

教皇ヨハネ・パウロ二世の詩集から。感嘆 森の木々が波となって流れくだるとき流れは感嘆することはない。しかし人は驚く。世界が通るこの入り口は驚きの入り口。(驚きはアダムと名づけられた)。 ものがみな感嘆しないなかでアダムはひとり感嘆する。もの…

歌詞と音符

〔蔵出し記事 20040729〕 声楽家の藍川由美さんの発言を以下、引用する(産経新聞2004年7月29日付朝刊)。

カロル・ヴォイティワの詩

カロル・ヴォイティワ(ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世)の詩集が入手困難と分かったけれども、ハンマーの詩がぜひ読みたい。 と思って探していたところ、The Place Within — The Poetry of Pope John Paul II, with translations and notes by Jerzy Peterki…

詩人カロル・ヴォイティワと内的生活 Karol Wojtyła, interior life

ローマ教皇ヨハネ・パウロ二世(カロル・ヨゼフ・ヴォイティワ)は聖職者であったが、同時に哲学者でもあり、詩人でもあった。さらには、音楽家でもあった。確か、ギターでの弾語りを聴いたことがあるが、存在感のある歌だった。声がすばらしい。 若い頃、ク…

フレーズの切れ目、さくら phrasing, articulation

詩歌の言語が、その詩歌に基づく楽曲の演奏表現にどのように影響を与えるかということ、これを説明するうまい例はないかと考えている。(別の記事「三月に」参照) 突拍子もないようだが、日本語の「さくら」を想いつく。この語を用いて詠う(歌う)場合、皆…

季語とキーワード haiku, keyword

〔蔵出し記事 20031212〕 「世界俳句」という語がある。俳人の夏石番矢さんがその主唱者のひとり。

読みやすい訳の対極にあるディキンスン訳詩

エミリ・ディキンソン、谷岡清男訳『愛と孤独と (エミリ・ディキンソン詩集 (1))』(ニューカレントインターナショナル、1987) 読みやすい訳が悪いわけではない。ただ、ときにきわめて難解なディキンスンのような詩をすらすらと読みやすく訳したものには警…

米国の詩人ハート・クレインの長詩『橋』の分析書

Paul Giles, Hart Crane: The Contexts of 'The Bridge' (1986; Cambridge UP, 2009) モダニズムの長詩はたいてい難解だが、その中でも恐らく最も難解なのがクレイン(1899-1932)の『橋』 'The Bridge' (1930)だろう。

現代詩のひとつの分水嶺

谷川 俊太郎『二十億光年の孤独』(集英社文庫、2008) Two Billion Light-Years of Solitude これはものすごい磁力をもった詩集だ。 「梅雨」における母音韻(assonance)のものすごさ。かと思えばアソナンスを切りアリタレーション(頭韻)かなにかがぶつけ…

夭折した天才詩人カチリーンの1976年作

Caitlín Maude, Caitlín (Gael Linn, 1976; rpt. 2003) いとしのカチリーン。アイルランド語詩歌のひとつの極北。夭折した天才詩人の1976年作が2003年に奇跡の復刻。 奇跡という以外に何といえようか。カチリーン・モード(1941-1982)の声を一度でも耳にし…

加島祥造(詩人としても著名)訳のポー詩集

エドガー・アラン・ポー『ポー詩集―対訳』(岩波文庫、1997) 岩波の対訳詩集の中でも異色。通常は研究者としての解説などが附くが、本書の解説は詩人として感じたことを書く。翻訳や註釈より、この詩人がポーをどう読んだか知りたい場合に好適。 ただし、大…

亀井俊介(ホイットマン学者として著名)訳のディキンスン

エミリー・ディキンソン『対訳 ディキンソン詩集―アメリカ詩人選〈3〉』(岩波文庫、1998) 岩波の対訳詩集としては標準的な訳と註です。

論で割り切れないからこそ物語を書く

「ユリイカ」 2013年4月号(青土社)特集=荻原規子 『空色勾玉』『西の善き魔女』、そして『RDG レッドデータガール』・・・夢見る力の無窮 詩の雑誌だけど、散文を特集するにはそれだけのわけがあるのだろう。 急いでいっておくと、第18回中原中也賞をとっ…

'Dare to be different' ひとと違うということは

Malorie Blackman, Cloud Busting (Corgi, 2005) すべて詩で書かれた点で特異な1人称児童小説(2004)。ふたりの男の子、デーヴィとサムとの関係をあつかう。英国の児童書に贈られるネスレ児童書賞の銀賞を受賞している(2004年、6-8歳部門)。また、英国の…

西欧近代抒情詩の淵源を読む

沓掛良彦『トルバドゥール恋愛詩選』(平凡社、1996) 12世紀南仏のトゥルバドゥールの詩選(1996)。

全力で入手した「文學界」2015年9月号

はじめに、どうやって入手したかのいきさつ。

ことばの音楽をもとめて

詩をかんがえるとき、ことばの音楽を考えないわけにいかない。 韻律論ということばがある。 「プロソディー」。

2006年度T・S・エリオット賞を受賞したヒーニの第12詩集

シェイマス・ヒーニー『郊外線と環状線』(国文社、2010) アイルランドの詩人シェーマス・ヒーニは2006年の本詩集に「春のトールンの男」という詩を含めた。1972年に「トールンの男」を書いたことが想い起こされる。デンマークで発掘された鉄器時代人のミイ…

イェーツ以来最高の詩人といわれるヒーニの第1〜第8詩集

シェイマス・ヒーニー『シェイマス・ヒーニー全詩集 1966~1991』(国文社、1995) いつか僕はオーフスへ行って ピートで茶色くなったその男の顔と 柔らかい豆の鞘のようなまぶたと 皮膚のように見える先の尖った皮の帽子を見てみたい 『冬を生きぬく』(1972)…

現代詩をめぐる小池昌代らの対談+佐藤優のキリスト教観

「中央公論」2015年 06 月号(中央公論新社2015) 【対談】 小池昌代と四元康祐とは十年前にも対談というか対詩している(『対詩 詩と生活』)。 今回は日本の現代詩や詩人であることをめぐって対話している。四元がふだんはドイツ在住であることもあり、201…

イェーツの幻の物語(1897年版『秘密の薔薇』)

W. B. イェイツ、栩木伸明編訳『赤毛のハンラハンと葦間の風』(平凡社、2015) 1897年版『秘密の薔薇』に収められた物語「赤毛のハンラハン物語」の本邦初訳。くわえて、1899年の詩集『葦間の風』初版から十八篇の詩を訳してある。 本を手に取るよろこびが…

イェーツの唯一の全詩集

鈴木 弘訳『W・B・イェイツ全詩集』(北星堂、1982) この訳詩集は1950年発行の決定版イェーツ詩集(マクミラン社)の全訳。その決定版の巻末にあるイェーツによる注の全訳もふくむ。さらに、訳者による評注、解説つき固有名詞索引も附属する。もはや古書で…