Tigh Mhíchíl

詩 音楽 アイルランド

記事一覧

アイルランド

'Joyce's Ulysses: A Guide' (iPad app)

2014年6月1日に、iPad 用のアプリとして 'Joyce's Ulysses: A Guide' が出た。註釈や音声をふくむすばらしいソフトウェアである。ジョイスの名作『ユリシーズ』をiPadで縦横に読むことができる。 原作の本文全文に加え、800点の註釈がついている。この本文は…

ジョイス『ユリシーズ』を原文で読むための註解書

米本義孝『読解「ユリシーズ」』 ジェームズ・ジョイスの『ユリシーズ』の作品前半部、第3,4,5,10,11 挿話を抜粋で取上げ、原文で読むための註解をほどこした書である。(本書の続篇『読解「ユリシーズ」〈下〉』は作品後半の第13,15,17,18挿話を抜粋…

What is Sean-nos?

Q:What is Sean-nós?A: Literally Sean-nós means ‘old way’. It is the oldest form of singing in Ireland. Sean-nós songs are usually sung unaccompanied. Excellent examples are the Irish language love songs: Úna Bhán, (Fair Úna), An Caisleán G…

Lumiere, 'Special Edition'

Lumiere, Special Edition (Sony, 2010) 美しい歌声の二人組。 アクースティック・ギター(Donogh Hennessy)を中心とする簡素で趣味のよい伴奏で、二人が時に一人で時にデュオで唄う。 その歌声はまっすぐで、ためらいがない。気持ちよいくらいに素直な唄い方…

シェーマス・ベグリが1枚まるごと歌う

Seamus Begley, The Bold Kerryman (IRL, 2015) 多くのファンの夢が実現した。 アコーディオンの名手として知られるシェーマス・ベグリが類稀な歌い手でもあること。アイルランド伝統音楽ファンの間で周知の事実だ。だが、彼はこれまでアルバム1枚でせいぜい…

お大事に Bless me

〔蔵出し記事 20060805〕 産経新聞の「ひもとくスヌーピーの50年」2006年8月4日付で載った分。 原文はこんな感じ。 谷川俊太郎訳は「はくしょん!」「お大事に」。説明コラムは 「お大事に」外国ではくしゃみをした人に「お大事に」って声をかける習慣がある…

'Cois Abhainn na Séad' の比較

Máire Ní Cheocháin のアルバムで挙げた歌 'Cois Abhainn na Séad' は Elizabeth Cronin の録音(1947)もあり、CD 附きの本 The Songs of Elizabeth Cronin (Four Courts Press, 2000) に歌詞と楽譜とが掲載されている(89-90頁)。同 CD と本 CD または上…

聴取録 Maire Ni Cheochain, 'Cu-cu-in'

ムースクリー(マスケリー)の歌唱伝統を知るのに恰好のシャン・ノース CD Cú-cú-ín をレビューする。 目次 データ 内容 総評 聞きどころ 入手先、試聴 映像 データ Máire Ní Cheocháin: Cú-cú-ín (Acamhadh Fodhla 2, 2006) rating: *** 1/2 sound quality:…

京大の楠カフェ、ゴールウェー大のCollege Bar

京大正門のカフェレストラン「カンフォーラ」で運良く窓際の席にすわったことがある。お値打ち感最高の特別ランチ(スープ、ミ二サラダ、メインディッシュ、パスタ、パン)を試した。紅茶は大したことない。が、店内完全禁煙ゆえ、ゆっくりできる。 名前が変…

Sweet 15 by Hitchner

音楽評論家アール・ヒッチナーが The Irish Echo Online 2006年1月4-10日号で、新千年紀(2001年からの千年)に発売された CD から15枚を選出した。よく見ると、1970年代、90年代のものや2000年のものも含まれているし、今では入手困難なものもあるけれど、…

2005年のシャン・ノース Amhranaiocht ar an sean-nos i 2005

〔蔵出し記事 20051231〕 2005年、生で見たシャン・ノースの歌い手は百二十名を超す。これほど多くのシャン・ノース歌唱を生で聴く機会に恵まれたのは2005年が初めてである。シャン・ノースつながりで言うと、生で見たシャン・ノース・ダンスの踊り手は二十…

アイルランド競技会へ海外から参加する人 From beyond the Shores of the Emerald Isle

映画 'The Boys and Girl from County Clare' (2003) は抱腹絶倒のコメディながらアイルランドの伝統音楽競技会にからむ人間模様を映画の形で見事に拳拳服膺してみせた作品といえる。 ケーリー・バンドの全アイルランド大会に参加する三カ国のバンドのリーダ…

ラーサリーナ、トラック 7 の謎 Source of 'Aoibhneas an Ghra'

ラーサリーナ・ニ・ホニーラ(Lasairfhíona Ní Chonaola)のアルバム Flame of Wine のトラック 7 'Aoibhneas An Ghrá' について、誰かが書くだろうと思っていたけれど、誰も書かない。そこで、メモ代わりに分かっていることを少し。 ライナーには、「この美…

Liam O Muirthile, 'Tine Chnámh'

〔蔵出し記事 20050928〕 2005年の夏、ゴールウェーで少し劇を見た。一つはドルイド・シングの渾名で呼ばれるドルイド一座によるシングの上演。世評は高かったが、私は必ずしも感心しなかった。特に、デアドラこと「悲しみのデルドラ」 Deirdre of the Sorro…

聴取録 Maire Brid Ui Nia, 'Brid Og Ni Mhaille'

コナマラのシャン・ノース・シンガー Máire Bríd Uí Nia のアルバム Bríd Óg Ní Mháille をレビューする。 Máire Bríd Uí Nia: Bríd Óg Ní Mháille (OECD-010, 1997?) rating: **1/2 sound quality: **1/2 Bríd Óg Ní Mháille Galway Bay The Blind Child Br…

アイルランド語のコピュラ(初級~中級者むけ)

アイルランド語にはいくつか難所がありますが、中でもコピュラと呼ばれる is がなかなか把握に骨が折れます。初級から中級レベルまでアイルランド語を勉強している人でも、自信をもって使うことがけっこう大変かもしれません。 コピュラは奥が深く、これだけ…

'Sean-Nos Cois Locha' (CD)

2006年2月に CIC が出したシャン・ノース集 CD Sean-Nós Cois Locha をレビューする。 VA: Sean-Nós Cois Locha -- Rogha Sean-Nós Milwaukee 2003-2005 (CIC CICD 162, 2006) rating: *** sound quality: ** Áine Uí Mhuineacháin (Nan Chamais) [ó Chinn M…

嘉日 La maith

Lasairfhíona, Flame of Wine (Claddagh, 2005) 期待にたがわぬ出来……などと冷静に語ることはできぬ。むしろ、思ってもみなかった曲の存在に驚愕するというのが正直なところだ。 それはトラック6 'Galleon' だ。クレジットでラーサリーナ・ニホニーラのオリ…

'The West's Awake' by Thomas Davis

'The West's Awake' by Thomas Davis Lumiere のアルバム Special Edition (2010) のトラック4に入っていた歌 'The West's Awake' は Thomas Davis (1814-1845) の書いた愛国詩に曲('The Brink of the White Rocks' といわれる)をつけたものだ。 [Thomas D…

フランシー語録 Francie Interview

フランシー・ムーニー(Francie Mooney [Proinsias Ó Maonaigh], 1922-2006)の音楽家・作家・俳優としての卓越した才能のひとつはアイルランド語の表現力にあったと思います。彼が書く歌詞には人を惹きつけるものがありました。その言語的遺産は不滅の輝き…

ヴァレリ兄弟のいぶし銀のごとき伝統音楽

"Silver Slipper", "Glen Road to Carrick" & "The Abbey Reel", Cillian & Niall Vallely w Alan Murray 米国の東海岸メリーランドに伝統音楽の振興をめざす非営利団体 IMT (The Institute of Musical Traditions, 1988年創設) がある。 そこで2013年に行わ…

Seosamh MacCathmhaoil に関する2つの記事

アイルランドの詩人 Seosamh MacCathmhaoil (Joseph Campbell) に関する記事が2016年1月に2本でた。めずらしい。 www.theguardian.com Lady Godiva and Me: The Footnote Poets 2a/4 Joseph Campbell and Literary History. 1つ目は英ガーディアン紙の「今週…

Liadan, 'Mo Ghille Mear'

Liadan Late Late Show 女性アイルランド伝統音楽バンド Líadan が2007年10月に有名な音楽番組 'The Late Late Show' に出演して伝承歌 'Mo Ghille Mear' を歌ったときの映像。後半に登場するシャン・ノース・ダンサーは Darach MacMathúna (すばらしいシャ…

クリスティ・ヘネシの貴重なDVD

Christie Hennessy, Messenger Boy: The Two of Us (Universal 1771877, 2008) クリスティ・ヘネシ(1945-2007)は特別なシンガーだ。彼のあたたかい人間性そのものからにじみ出るような、清らかな歌を聴いた人は、なにか特別な宝のようなものに触れたと感じ…

オ・ブリアンとトービーン Come West along the Road (DVD)

2005年暮れに発売された RTE のビデオ・クリップ集 Come West along the Road: Irish Traditional Music Treasures, Volume 1 from RTÉ TV Archives 1960s - 1980s (RTÉ RTEDVD99)。プロデュースはニコラス・カロラン。本 DVD はオール・リージョンズのデ…

2005年の語り、本、科学を振返る 2005 in Review

〔蔵出し記事 20051230〕 2005年を回顧すると、語り、本、科学の三方面でこれまでにない発見をした年であった。それについて、以下、略述する。 語り 語り(scéalaíocht)に以前から関心はあったけれど、2005年に、初めて何人もの本物のアイルランド語の語り…

Sean O Riada: 'Ceol an Aifrinn agus Aifreann 2'

Sean O Riada, Ceol an Aifrinn agus Aifreann 2 (Gael Linn ORIADACD02) ショーン・オ・リアダのミサ曲 'Ceol an Aifrinn' と 'Aifreann 2' とが一枚の CD に収められ Gael Linn レーベルから燦然とリリースされている。燦然というのは、アルバムのパッケ…

DVD 'Come West along the Road'

Come West along the Road (RTÉ RTEDVD99) 〔第1集〕 アイルランドRTE放送局の人気伝統音楽番組 'Come West along the Road' のシリーズから精選したもの。ホストはニコラス・カロラン(最近までダブリンのアイルランド伝統音楽資料館 ITMA の館長だった)。…

三人のドノハ Donncha

三人のドノハさん 相当なアイルランド音楽通を自認する人でもちょっと難しそうなクイズを一つ。次の三人のドノハさんの違いは何でしょう。 Seán 'ac Dhonncha Seán Mac Donncha Seosamh Mac Donncha 発音はそれぞれショーン・アク・ゴノハ、ショーン・マク・…

珠玉の断章ーーアイルランドのシスター・スタンの至言

アイルランドのシスター・スタンの至言を集めたもの。一日一言ずつ一年間にわたって読める。 いくつか例を挙げてみよう。1月5日。 Standing on the shore, part of the rhythm of the tide. Each wave a giving and a taking, impermanence dissolving into …

『われらの音楽伝統』 Our Musical Heritage by Sean O Riada

Seán Ó Riada, Our Musical Heritage (Fundúireacht an Riadaigh, 1982; ed. with an introduction by Thomas Kinsella; Musical Editor: Tomás Ó Canainn) ショーン・オ・リアダ(1931-1971)が1962年7月7日-10月13日に行ったラジオ講話を収める小著(楽譜…

'Galleon' の一節 Back in time to a place beyond から海を想う

ラーサリーナ・ニ・ホニーラのウェブサイト flameofwine.com の扉にかつて書かれていた言葉。 Back in time to a place beyond, where no one else has been so farAll the joys of my yearning heart, haunting music for the soul. これは2枚目のアルバムF…

John Brian Vallely (interview, Beo)

トラッド・ファンにもたぶんおなじみの世界的画家のインタヴューが Beo 2005年9月号に掲載されている(アイルランド語)。 先に彼の子供たちのことにふれると、Lúnasa (ルーナサ、「ルナサ」)のキリアン(Cillian)・ヴァレリー(イラン・パイプス)は次男…

アイルランドの数独とマガハン Sudoku in Eirinn agus McGahern

〔蔵出し記事 20050916〕 最近アイルランドで時間を過ごした人なら誰でも気づいているだろうが、あちらでは数独は大変な人気である。日本人自身が驚くほどの大人気である。 アイルランドの新聞でその日の数独問題を掲載していないのはアイルランド語新聞だけ…

グルジェフの映画 Scannan faoi Ghurdjieff

過日、アイルランド語を勉強中の一こま。 「一番好きな映画を選べ」という課題が与えられた。各自がそれを挙げて、説明し、論じ合うのである。これを全部アイルランド語で行う。 私はとっさに「注目すべき人々との出会い」 (Meetings with Remarkable Men) …

Micheal O Seighin and Bogs

〔蔵出し記事 20050906〕 シャン・ノース歌手のミホール・オ・シェーン(Micheál Ó Seighin)さんら五人がメーヨー県内陸部の天然ガス関連施設の建設は危険すぎるから沖合に建設せよとの抗議運動を起こし、〔2005年〕6 月 30 日に投獄された。それから二ヶ月…

全アイルランド・フラー(フラー・ヒョール・ナ・ヘーラン)の歌唱ルール

フラー・ルールによると、18歳以上の部(D)の全愛フラー(The All-Ireland Fleadh)では、アイルランド語・英語のソロ伝統歌唱の曲目については次の規定に従わねばならない。 17. Competitions 31- 34 Amhránaíocht / Traditional SingingAge Group D: Two …

海洋国アイルランド

The Galway Hookers 4th ed. le Richard J. Scott (A. K. Ilen, 2004) le DVD. [Ceannaithe i SPAR sa Cheathú Rua.] ゴールウェーの伝統的帆船(húicéir)の本。DVD (TG4 のアイルランド語番組)附き。この帆船(フーィケール、フッカー)を見るために訪愛…

セラ=ジェーン・ウッズのインタヴュー(3) Sarah-Jane Woods interview (3)

CUMAR のアルバムで演奏を聞かせたフルート奏者セラ=ジェーン・ウッズ (Sarah-Jane Woods) の Beo におけるインタビュー (Beo, Eagrán 36, Aibreán 2004) の3回目。原文(アイルランド語)のあとに大意を英語で掲げる。 [Sarah-Jane Woods; source] Antaine…

セラ=ジェーン・ウッズのインタヴュー(2) Sarah-Jane Woods interview (2)

CUMAR のアルバムで演奏を聞かせたフルート奏者セラ=ジェーン・ウッズ (Sarah-Jane Woods) の Beo におけるインタビュー (Beo, Eagrán 36, Aibreán 2004) の2回目。原文(アイルランド語)のあとに大意を英語で掲げる。 [Sarah-Jane Woods; source] 〔一口…

セラ=ジェーン・ウッズのインタヴュー(1) Sarah-Jane Woods interview (1)

CUMAR のアルバムで演奏を聞かせたフルート奏者セラ=ジェーン・ウッズ (Sarah-Jane Woods) の Beo におけるインタビュー (Beo, Eagrán 36, Aibreán 2004) を少しづつ紹介する。原文(アイルランド語)のあとに大意を英語で掲げる。 [Sarah-Jane Woods; sour…

Cumar 音楽学校の若き音楽家たち

Cumar (CIC CICD141, 2000) 10. An Tréigean le Ciarán Ó Concheanainn 11. Poirt / Jigs le Sarah-Jane Woods 1999 年の「クマル」コンサートの模様を収めたアルバム。〔'cumar' はアイルランド語としては「峡谷」の意だけれど、ここではアイルランド西部コ…

Ciaran O Con Cheanainn

〔蔵出し記事 20050825; From the archives: what follows was written on 25 August 2005〕 Ciarán Ó Con Cheanáinn, a most promising young sean-nós singer. 彼は恐らく2005年のエラハタスでオ・リアダ杯を獲得することだろう。2004年は同杯三位、2002年…

アイルランド伝統音楽のギター弾きに4種類あり

スレッド 'The Guitar and Irish Traditional Music' から(2002-2005)。thesession.org に発し、Mudcat にまで飛び火した、ギターとアイルランド伝統音楽をめぐる議論。Michael Sands さんの観察によると、アイルランド伝統音楽のセッション現場で出会うギ…

Altan @ Aiphonic Hall, Itami, 4 Dec 2015

アルタン(兵庫県伊丹市アイフォニックホール、2015年12月4日) 伊丹市で行われたアルタンのコンサートについてのメモを少し。 メンバー このメンバーになってからは初めて見た。アコーディオン奏者が Martin Tourish (Ciaran Tourish の甥)に代わった。ギ…

歌詞と音符

〔蔵出し記事 20040729〕 声楽家の藍川由美さんの発言を以下、引用する(産経新聞2004年7月29日付朝刊)。

Papa Eoin Pol II (La), Saint Malachy

〔蔵出し記事 20050405〕 北アイルランドのベルファストで発行されているアイルランド語週刊紙 Lá の4月4日付(Dé Luain 4 Aib 2005)にローマ教皇ヨハネ・パウロ二世(Eoin Pól II)の逝去に伴う今後の行事等についての署名記事が載った。まず、その全文。 …

Give Us a Drink of Water (Si-Folk)

Si-Folk, Clear Spot Session: Traditional Irish Music (2002) 世界広しと言えど、こんな解釈の演奏が出来るのは日本のシ・フォーク(Si-Folk)だけではないか。彼らのアルバム Clear Spot Session: Traditional Irish Music (rec. 2001-2002) のトラック 7…

ニャーのある歌い手、ない歌い手 nya, nyahh, nea

シャン・ノース歌唱の名人ジョー・ヒーニー(Joe Heaney)はジョーン・バエズ(Joan Baez)にはニャーがないと言った。 こういう話が IRTRAD-L メーリング・リストで出たことがある。では、ニャーとは何か。ポール・カー(Paul Carr)が同リストに投稿して、…

「三月に」をアイルランド語で言うと Marta

「三月」の語 'Márta' を取上げる。こういう月の名前が出てくると、季節を通じて連帯感が生まれる。アイルランド語と他の言語、例えば英語(March)との間に。両者は一見してよく似ている。ラテン語のマールティウス Martius、即ち軍神マールス Mars の月(…